設計書・障害レポート作成が劇的に捗るGemini Canvas活用
Canvasを活用する例を使って解説します。
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author: kuribo-
はじめに
(この記事はGemini Canvasを使って記事を作成しています)
「またドキュメント作成か…コードを書く時間より、設計書や障害レポートと向き合っている時間の方が長い…」
ITエンジニアであれば、一度はこんな風にため息をついたことがあるのではないでしょうか。
私たちは本質的な課題解決や新しい価値創造のためにコードを書いていますが、その周辺には膨大なドキュメント作成業務が存在します。
考えただけでも頭が痛くなりますよね。
もちろん、ドキュメントは重要です。
しかし、その作成に多大な時間を費やし本来集中すべき業務の妨げになってしまうのは本末転倒です。
これまでも、多くのエンジニアがGeminiのようなAIをコードスニペットの生成やエラーの解決といった点で活用してきたことでしょう。
しかし、ここで1つ新たな問いが生まれます。
もし、そのAI活用を点から面へと広げ、ドキュメント作成という大きな課題そのものを解決できるとしたら…?
それを実現するのが今回ご紹介するGemini Canvasです。
この記事では、Gemini Canvasがなぜエンジニアのドキュメント業務に革命を起こすのか、
そして私の経験も交えながら明日からすぐに使える具体的な活用術を深掘りして解説していきます。
チャットだけじゃない、Canvasが「ドキュメント仕事」の救世主になる理由
まず理解しておきたいのは、Gemini Canvasは単なるチャット画面ではないということです。
チャットでのやり取りを通して、1つの完成されたドキュメントをAIと共同で作り上げていくための、
まさにキャンバスなのです。
このアプローチがエンジニアのドキュメント作成に驚くほどフィットします。
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長大な文脈維持能力
長大な技術仕様書や調査レポートでもCanvasはドキュメント全体の文脈を理解し続けます。
途中で新しい章を追加したり既存の記述を修正したりしても、全体の一貫性を保ったまま編集を続けてくれるのです。
「あの件、さっきも書いたのに…」といったストレスとは無縁です。 -
最高の思考の壁打ち相手
頭の中に漠然とあるアイデアや要件を投げかけるだけで、Canvasはそれを構造化された文章へと具体化してくれます。
自分一人でウンウン唸りながら構成を考える必要はありません。
AIという優秀な壁打ち相手がいることで思考が整理され、ドキュメントの質も驚くほど向上します。 -
面倒なフォーマットからの解放
「このフォーマットに沿って書いてください」と指示するだけで、Canvasは指定された形式でドキュメントを生成します。
社内規定のテンプレートや、業界標準のフォーマット(例えばGoogle SREのポストモーテムなど)に準拠したドキュメントを一瞬で作り出すことができます。
【実践】もうドキュメントで消耗しない!具体的な活用シーン3選
言葉で説明するよりも、実際の活用シーンを見ていただくのが一番でしょう。
エンジニアが日常的に直面する3つの場面でGemini Canvasがどのように役立つかをご紹介します。
シーン1:技術設計書の骨子作成
新しいマイクロサービスの開発を担当することになったあなた。
まずは技術設計書を作成し、チームでレビューする必要があります。
ゼロから書き始めるのは骨が折れますが、Canvasを使えば数分で骨子が完成します。
Prompt:
ユーザー認証機能に関するマイクロサービスの技術設計書を作成してください。
以下の章立てでお願いします。
1. 背景と目的
2. API仕様
3. DBスキーマ
4. 認証・認可フロー
5. セキュリティに関する考慮事項
これだけで各項目が適切に記述された設計書のドラフトが生成されます。
さらに、対話形式で具体的な仕様を詰めていきましょう。
Prompt (追記):
「2. API仕様」の部分を、OpenAPI (Swagger) 3.0形式のYAMLで記述してください。
エンドポイントは /login, /logout, /userinfo とします。
このように対話を続けるだけでレビューに向けた質の高いドラフトがあっという間に完成します。
シーン2:障害発生後のインシデントレポート作成
深夜の障害対応。
なんとか復旧させたものの、頭は朦朧とし、時系列のメモはSlackやターミナルのログに散らばっています。
ここから冷静にレポートをまとめるのは至難の業ですよね。
そんな時こそCanvasの出番です。
Prompt:
以下の障害対応メモをもとに、Google SREが提唱するポストモーテムの形式で障害レポートを作成してください。
タイムライン、根本原因の分析(RCA)、今後のアクションアイテムを明確にまとめてください。
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(ここに、Slackのやり取りやコマンド履歴などをそのまま貼り付ける)
23:45 アラート発報 (CPU使用率高騰)
23:50 担当者Aが調査開始
...
01:15 ロールバックによりサービス復旧を確認
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散らばっていた情報が、客観的で構造化されたレポートに生まれ変わります。
これにより迅速かつ正確な情報共有が可能になり、効果的な再発防止策の検討に繋がるのです。
シーン3:チームのためのオンボーディング手順書作成
新メンバーがチームに加わりました。
しかし、ローカル開発環境の構築手順が古く、あちこちで詰まってしまい、あなたの作業が何度も中断されています。
属人化しがちなノウハウは、一度Canvasでドキュメント化してしまいましょう。
Prompt:
新規参画者向けのローカル開発環境構築手順書を作成してください。
# 前提
- OS: macOS (Apple Silicon)
- 必要なツール: Docker, Homebrew, Git, Node.js v20
# 手順
リポジトリのクローンから、`npm start`でローカルサーバーが起動するまでのステップを、実行するコマンド付きで分かりやすく解説してください。
特に、.env.sampleから.envファイルを作成するステップは丁寧にお願いします。
これで、誰が見ても分かる標準化された手順書が完成です。
一度作ってしまえば今後のオンボーディングが劇的にスムーズになります。
まとめ
今回はGemini Canvasというエンジニアのドキュメント作成業務を劇的に変える可能性を秘めた機能について深掘りしました。
- 技術設計書の骨子作成
- 障害レポートの清書
- オンボーディング手順書の作成
これらはほんの一例です。
しかし、この記事で最も重要なメッセージは、Gemini Canvasは単なる時短ツールではないということです。
それは、私たちエンジニアをドキュメント作成という避けられない業務の苦痛から解放し、
より創造的で本質的な課題解決に集中させてくれる「思考のパートナー」なのです。
コード生成だけでなく、設計、障害対応、チームビルディングといったエンジニアリングのあらゆる側面で、
Gemini Canvasはあなたの生産性を飛躍的に向上させるポテンシャルを秘めています。
この記事が、皆さんの日々の業務をより快適で創造的なものにするための一助となれば幸いです。
※本記事は、ジーアイクラウド株式会社の見解を述べたものであり、必要な調査・検討は行っているものの必ずしもその正確性や真実性を保証するものではありません。
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