Terraformで ArtifactRegistry の Cleanupポリシー を変更すると謎の差分が発生する原因と回避策
Terraformで Artifact Registry の Cleanupポリシーを変更するとバグで差分が発生するため、原因と回避策を記載します。
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author: kuribo-
はじめに
インフラチームのkuribo-です。
GCPとTerraformを日々触っている皆さん、CI/CDでArtifact Registryを使っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、Artifact RegistryリソースのCleanupポリシーを変更しようとした際に遭遇した、困った挙動と、その回避策について紹介します。
該当のIssueはこちらです。もしかしたら現在この記事を読んでいる方がこのIssueを読む頃にはクローズされている可能性はありますが、同じようにハマってしまった方の助けになれば幸いです。
何が起きたのか?
Artifact Registryのリポジトリ設定をTerraformで管理していて、Cleanupポリシーのを修正しようとしたのが始まりです。
具体例として、以下のようなTerraformコードを書いて apply
していました。
resource "google_artifact_registry_repository" "image" {
location = var.location
repository_id = "docker-repo"
description = "docker repository"
format = "DOCKER"
docker_config {
immutable_tags = false
}
cleanup_policies {
id = "delete-untagged"
action = "DELETE"
condition {
tag_state = "UNTAGGED"
older_than = "30d"
}
}
cleanup_policies {
id = "delete-tempry-tags"
action = "DELETE"
condition {
tag_state = "TAGGED"
tag_prefixes = ["pr-", "pre-"]
older_than = "30d"
}
}
}
delete-tempry-tags
がTypoしているので、 delete-temporary-tags
に修正して terraform plan
を実行すると、こんな差分が出てきます。
~ resource "google_artifact_registry_repository" "image" {
id = "projects/inhouse-prj-ghost-writer-ai/locations/asia-northeast1/repositories/docker-repo"
name = "docker-repo"
# (13 unchanged attributes hidden)
- cleanup_policies {
- action = "DELETE" -> null
- id = "delete-tempry-tags" -> null
- condition {
- older_than = "2592000s" -> null
- package_name_prefixes = [] -> null
- tag_prefixes = [
- "pr-",
- "pre-",
] -> null
- tag_state = "TAGGED" -> null
- version_name_prefixes = [] -> null
# (1 unchanged attribute hidden)
}
}
+ cleanup_policies {
+ action = "DELETE"
+ id = "delete-temporary-tags"
+ condition {
+ older_than = "30d"
+ package_name_prefixes = []
+ tag_prefixes = [
+ "pr-",
+ "pre-",
]
+ tag_state = "TAGGED"
+ version_name_prefixes = []
# (1 unchanged attribute hidden)
}
}
+ cleanup_policies {
}
}
おわかりいただけただろうか。
差分の最後の方で謎の空っぽの cleanup_policies
ブロックを新たに作成しようとしているのです。
この空の cleanup_policies
ブロックはGoogleのAPI的には不正な定義となるため、
このまま terraform apply
を実行するとエラーとなり、リソースの修正が不可能という詰んだ状態になってしまいます。
どうすれば解決できるのか?
Issueがオープンなうちは、Terraform Provider側の修正を待つ必要がありますが、それまでの暫定的な回避策としては、以下の手順で対応できます。
- GCPコンソールから手動で該当のクリーンアップポリシーを削除する
- 対象のArtifact Registryリポジトリの詳細画面を開く
- 「クリーンアップポリシー」タブを選択
- 問題のポリシー(この場合は
delete-tempry-tags
、あるいは修正後のdelete-temporary-tags
も影響を受けている場合はそれも)を特定し、手動で削除
- 再度
terraform apply
を実行する- 手動でポリシーを削除したことにより、Terraformが期待する状態との差分が空のポリシーブロックを含まない形になり、正常に
apply
できるようになるはず
- 手動でポリシーを削除したことにより、Terraformが期待する状態との差分が空のポリシーブロックを含まない形になり、正常に
根本的な解決ではないものの、これでひとまずはTerraformでの管理下にリソースを戻すことができます。
おわりに
今回は、Terraformで google_artifact_registry_repository
の cleanup_policies
を変更しようとした際に
発生する可能性のある問題と、その回避策についてご紹介しました。
Terraform Providerのバグは時々遭遇するものですが、Issueを確認したり、今回のように手動での回避策を探したりすることで、なんとか乗り越えていきたいですね。
この記事が、同じ問題に直面した誰かの一助となれば幸いです。
そして、Issueが早期に解決されることを願っています!
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