Google Cloud英語試験の攻略ポイント
Google Cloudの英語の試験を受験するにあたり、キーポイントとなる英単語を紹介
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author: kuribo-
はじめに
昨年からGoogle Cloudの認定試験の英語しかないものを英語で受験していますが毎回その英語に苦戦します。
例えば、問題文や選択肢の微妙なニュアンスが掴めず、「最もコスト効率が良いのは?」「推奨されるベストプラクティスは?」といった問いに対して、
確信を持って回答できなかったり、技術的な知識はあってもそれを正しく理解しアウトプットするための「英語の読解力」が足りません。
この経験をまとめておくことで次回以降に活かしたい、そして同じように英語がネックで実力を発揮しきれないエンジニアの役に立場と思い記事を書くことにしました。
英語の技術試験に挑む上での心構え、問題を解くための具体的なポイントをまとめていますが、
全て網羅しているわけじゃないので参考にしつつ、自分なりのポイントもまとめて学習してみてください。
心構えと戦略:英語試験は読解力のテスト
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時間配分を死守する意識を持つ 英語を読むスピードは、日本語に比べてどうしても遅くなります。
1問あたりにかけられる時間は思ったより短いです。
模擬試験では必ず本番と同じ制限時間で解き、試験時間に慣れておくことが重要です。 -
完璧な理解を目指さない 全ての単語を完璧に理解しようとするとすぐに時間がなくなります。
知らない単語が出てきても焦らず、「この問題が何を問うているのか」という要点と、
選択肢から問題を推測しましょう。また、読めない単語があって虫食い状態でも意外と文は読めるものです。日本語に置き換えるとわかりやすいです。
例:This article talks about the key points of the Google Cloud Exam.
動詞のtalksが何を意味しているかがわからないとしても、「この記事はGoogle Cloud認定試験の要点を○しています。」と読めます。
「要点を」と「talks」から、「書いてある」とか「説明している」とかそのあたりの意味かなと推測できます。 -
「消去法」を多用する これは日本語の試験でも同じですが、自信を持って正解だとわかる問題は少ないです。
ですが、これは絶対に違うという選択肢を消していくことで正答率を格段に上げることができます。
各選択肢のキーワードに注目し、明らかに要件と違う選択肢を確実に除外するようにしましょう。
実践テクニック:問題文のポイント
英語の問題文には、答えの方向性を示すポイントが隠されています。
これを見抜くことで、読解のスピードと精度が上がります。
- 修飾語に細心の注意を払う:
best
most
least
cheapest
fastest
といった最上級・比較級の単語は、解答の条件を決定づける最重要キーワードです。 - 問題の「主語」と「目的」を捉える:「誰が(どのチームが)」「何のために(どんな課題を解決するために)」という状況設定を正確に把握することが重要です。
- 否定形・肯定形の見落としに注意:
Which of the following is NOT a recommended practice?
(次のうち、推奨されないプラクティスはどれか?)といった問題は、NOT
やEXCEPT
を見落とすと即失点に繋がります。
Generative AI Leaderを例にした英単語解説
先日受けたGenerative AI Leaderを例に、
公式試験ガイドでも強調されているキーワードを含めて解説します。
単語の意味だけでなく、「ビジネス上のどんな意味を持つのか」という視点で理解することが合格への鍵です。
1:アクション・目標に関する動詞
問題文が「何をすべきか」を理解するための心臓部です。
英単語 | 意味とポイント |
---|---|
Ensure | 確実にする、保証する。SLAや要件達成の文脈で必ず出てきます。 |
Provide | 提供する。誰が何を提供するのか、主語を明確にすることが重要です。 |
Allow / Enable | ~を可能にする。技術的な「実現手段」を問う問題で多用されます。 |
Reduce / Minimize | 削減する/最小化する。cost (コスト)やlatency (遅延)と共に使われる改善目標の定番です。 |
Increase / Maximize | 増加させる/最大化する。performance (性能)やavailability (可用性)の文脈で使われます。 |
Optimize | 最適化する。コスト、速度、リソースなどのtrade-off (トレードオフ)を考慮し、バランスを取るイメージです。 |
Leverage | ~をてこにして活用する。単なるuse (使う)より、効果的に利用するニュアンスです。 |
Implement | 実装する。計画を具体的な形にすること。 |
Deploy | デプロイする、展開する。学習済みのモデルをサービスとして利用可能にすることです。 |
Migrate | 移行する。既存システムをクラウドへ移行する文脈で使われます。 |
Integrate | 統合する。複数のサービスやシステムを連携させることです。 |
Adhere to | (規則・基準に)従う、遵守する。compliance (コンプライアンス)要件の文脈で頻出します。 |
Prevent | ~を防ぐ、防止する。セキュリティ関連で頻出します。 |
Achieve | ~を達成する。ビジネス目標を達成するという文脈で使われます。 |
Assess / Evaluate | 評価する。複数の選択肢や現状を客観的に評価し、比較検討する文脈で使われます。「Assess the current architecture(現在のアーキテクチャを評価する)」など。 |
Determine | 決定する、特定する。調査や評価の結果、何かを結論づける、または見つけ出すニュアンスです。「Determine the root cause(根本原因を特定する)」など。 |
Mitigate | (リスクなどを)軽減する。risk (リスク)やthreat (脅威)を完全に無くすのではなく、影響を和らげる、という意味合いで頻出します。Reduce と似ていますが、特にネガティブな要素に対して使われます。 |
Provision | (リソースを)プロビジョニングする、用意する。コンピューティングリソース(VM、ストレージ等)を準備・設定すること。インフラ構築の文脈で基本となる動詞です。 |
2:品質・特性に関する名詞・形容詞
ソリューションが満たすべき「品質」や「状態」を問う問題で、選択肢の決め手となります。
英単語 | 意味とポイント |
---|---|
Requirement | 要件、要求仕様。すべての問いの出発点です。 |
Constraint | 制約(条件)。予算や時間など、要件と並ぶ重要な判断基準です。 |
Latency | (通信の)遅延。low latency (低遅延)が求められるかがアーキテクチャ選定の鍵です。 |
Cost-effective | 費用対効果が高い。ただ安い(cheap )のではなく、投資に見合う効果があることです。 |
Scalability | 拡張性、スケーラビリティ。負荷の増減に柔軟に対応できる能力です。 |
Availability | 可用性。システムが稼働し続けている割合です。 |
Durability | 耐久性。保存したデータが失われないことです。 |
Reliability | 信頼性。可用性や耐久性を含め、システムが期待通りに安定して動作することです。 |
Confidentiality | 機密性。情報セキュリティの三要素(CIA)の一つ。許可された人だけが情報にアクセスできることを保証することです。Data anonymization などと関連が深いです。 |
Integrity | 完全性。情報セキュリティの三要素(CIA)の一つ。データが正確であり、不正に改ざんされていないことを保証することです。 |
Resilient | 回復力のある。障害が発生しても、迅速に回復できる能力です。 |
Efficient | 効率的な。リソースを無駄なく使えている状態です。 |
Compliance | 法令遵守。特定の規制や業界標準に従うことです。 |
Governance | ガバナンス、統治。組織のポリシーに沿ってITリソースを管理・統制することです。 |
data quality / data accessibility | データ品質/データアクセス性。AIの性能はデータの質と量に大きく依存します。 |
Throughput | スループット。単位時間あたりに処理できるデータ量やトランザクション数。Latency (遅延)と対比で語られることが多い、性能指標の重要単語です。 |
3:AI/MLの基本サイクルとデータ
AIプロジェクトの前提となる共通言語です。
英単語 | 意味とポイント |
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machine learning lifecycle | 機械学習ライフサイクル。データ収集からモデル運用までの一連の流れです。 |
train / training data | 学習/学習データ。AIモデルをデータを使って賢くすること、またそのためのデータです。 |
structured / unstructured data | 構造化/非構造化データ。Excelのような整理されたデータか、文章や画像のような自由形式のデータか。 |
labeled / unlabeled data | ラベル付き/ラベルなしデータ。データに正解(ラベル)が付与されているか否か。 |
monitor / drift monitoring | 監視/ドリフト監視。モデルの性能が時間と共に劣化していないかを監視することです。 |
data anonymization / pseudonymization | データ匿名化/仮名化。学習データに含まれる個人情報を保護する技術です。 |
Hallucination | ハルシネーション(幻覚)。AIが事実に基づかない、もっともらしい嘘の情報を生成してしまう現象。Grounding やRAG がこの対策として重要になります。 |
4:モデルの概念と種類
どのようなAIモデルを扱うのかを理解するための用語です。
英単語 | 意味とポイント |
---|---|
Foundation Model | 基盤モデル。様々なタスクの基盤となる、大規模データで事前学習されたモデルです。 |
diffusion models | 拡散モデル。高品質な画像生成(例:Imagen)の核となる技術です。 |
multimodal | マルチモーダル。テキスト、画像、音声など複数の種類のデータを同時に扱える能力です。 |
Embeddings | エンベディング(埋め込み)。単語や文を、意味が近いものが近くになるように数値ベクトルに変換したものです。 |
context window | コンテキストウィンドウ。モデルが一度に処理できる情報の量(トークン数)です。 |
knowledge cutoff | ナレッジカットオフ。モデルが学習したデータの時点的な限界です。 |
5:モデルの出力品質と改善アプローチ(最重要)
試験の核心部です。様々な改善手法の位置づけを正確に理解しましょう。
アプローチ | 手法 | 意味とポイント |
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学習による改善 | train from scratch pre-trained re-train fine-tuning | ゼロから学習/事前学習済み/再学習/ファインチューニング モデルの重み自体を更新し、根本的に賢くします。コストはかかりますが、専門分野への深い特化が可能です。 |
プロンプトによる改善 | Prompt Engineering zero-shot one-shot few-shot role prompting prompt chaining chain-of-thought | プロンプトエンジニアリング。 学習はさせず、指示(プロンプト)を工夫することで精度を上げます。zero-shot (例なし)→one-shot (1例あり)→few-shot (数例あり)→高度なテクニック、という流れを理解しましょう。 |
外部情報による改善 | Grounding RAG (Retrieval-Augmented Generation) | グラウンディング/検索拡張生成 AIが嘘をつく「Hallucination 」を防ぐため、信頼できる外部文書を検索させ、それに基づいて回答を生成させます。 |
出力の調整 | sampling parameters (temperature , top-p ) | サンプリングパラメータ。 モデルの出力の「創造性」や「多様性」を調整します。ブレストなら創造的に、要約なら正確に、といった使い分けが重要です。 |
人間による改善 | human in the loop (HITL) | ヒューマンインザループ(人間による介在)。 最終判断を人間に委ねることで、AIの暴走を防ぎ、品質を担保します。 |
6:Google Cloudプラットフォームと責任
ビジネスでAIを利用する上で、避けては通れない「守り」と「基盤」の側面です。
英単語 | 意味とポイント |
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Vertex AI | Google Cloudの統合AIプラットフォーム。Model Garden やAgent Builder といった機能を含みます。 |
low-code/no-code | コードをほとんど書かずにAIアプリを開発できるツール。AI開発の民主化に繋がります。 |
TPUs / GPUs | AIの学習や推論を高速化するための専用ハードウェアです。TPUとGPUの用途の違いは理解しておきましょう。 |
Responsible AI | 責任あるAI。公平性、透明性などを考慮してAIを開発・利用することの総称です。 |
explainability | 説明可能性。AIが「なぜその結論に至ったのか」を人間が理解できるように説明できる能力です。 |
Secure AI Framework (SAIF) | Googleが提唱する、AIシステムを安全に保つためのフレームワークです。 |
Identity and Access Management (IAM) | IDおよびアクセス管理。「誰が」「どのAIやデータに」アクセスできるかを制御する基本的なセキュリティです。 |
Shared Responsibility Model | 責任共有モデル。クラウドのセキュリティにおいて、Google Cloud側が責任を持つ範囲(インフラ等)と、利用者側が責任を持つ範囲(データ、アクセス管理等)を明確に分ける考え方。セキュリティ問題の基本です。 |
まとめ
Google Cloudの英語試験に挑戦する皆さんにお伝えしたいのは、「技術の学習と同じくらい、英語の読解トレーニングにも時間をかける」必要があるということです。
- Google Cloud公式ドキュメントを英語で読む習慣をつける
- 英語の模擬試験を時間を計って何度も解く
- 分からなかった単語や言い回しをまとめる
地道なようですが、このような学習や訓練することで英語の試験も合格できることでしょう。
私も英語の試験を落ちたり受かったりと安定しないので引き続き頑張っていきたいです。
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