応用情報技術者受験記
IPA(情報処理推進機構)の実施するテストを俯瞰し、応用情報技術者に求められるスキルセットを確認する
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author: kwgc-t
はじめに
2023年秋季のIPA主催の情報処理試験を受験してきました。受験した試験は応用情報技術者(AP)、試験日は2023/10/08、合格発表日は2023/12/21の正午です。
試験の概要やこの度の受験の動機、どうやって学習したかをまとめました。
受験の動機
弊社はGoogleのサービスに特化した組織です。Googleの受験や資格取得には会社の補助や、周囲に深い知見を持ったメンバーが多く、試験勉強や受験をしやすい環境です。その中であえてIPAが実施する応用情報技術者試験を受験しました。理由は以下です。
- 特定のベンダーに依存しない業界標準的な知識を包括的に求められるため
- 技術のみに限定しない総合的な知識(法令、監査、経営など)を求められるため
- 友人が受験すると言っていたため(モチベーションアップ)
期限切れがないため
他にも個人的な感情としてもともとレベル4(※後述)の取得を目指しており、2023春季にはシステムアーキテクト(SA)の受験をしました。しかしながら、不合格。そこできちんとステップを踏んで応用情報技術者にまずは合格しよう、と考えました。
IPA が実施する試験の概要
全体像
図1
引用:IPA 試験区分一覧
IPAの試験は図1のように区分けされています。レベル1〜レベル4で表現されています。
レベル | 図の背景色 | 概要 |
---|---|---|
1 | 紫 | 職業人及びこれから職業人となるべき者が備えておくべき共通的で基礎的な知識を持っていること |
2 | 黄 | IT を活用したサービス,製品,システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けていること |
3 | 緑 | IT を活用したサービス,製品,システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち,高度 IT 人材としての方向性を確立していること |
4 | 赤 | 高度 IT 人材として確立した専門分野をもち固有技術の専門家として,情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行うこと |
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は情報処理技術者試験ではレベル3に該当します。試験の範囲は非常に広く、試験時間も長くなっています。
試験は春(4月)と秋(10月)に実施されています。レベル2以下は試験が2020年にCBT方式に移行されました。2023年4月から通年での試験実施となりいつでも受験が可能になりましたが、レベル3以上の試験はオンサイトでの受験のみになります。試験場所は申し込みをした住所に応じて決定されますが、概ね最寄りの大学やレンタルオフィスで行われます。
応用情報技術者試験内容概要
午前、午後と試験があります。
午前試験
制限時間150分で80問、選択式で出題されます。1問あたり1.25点、60%以上の得点で合格です。
出題の分野はストラテジ系(25%)、マネジメント系(12.5%)、テクノロジ系(62.5%)の3つに分かれます。
午後試験
制限時間150分で11問出題されます。11問のうち情報セキュリティは必須問題、その他4問を選択し、5問に回答します。各問あたり20点、60%以上の得点で合格です。各問の採点の詳細は公開されていません。出題の分野は、以下の11分野です。
- 情報セキュリティ
- 経営戦略
- プログラミング
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組込みシステム開発
- 情報システム開発
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
午後の回答は基本的に論述形式です。XXについてN文字以内で答えよ、といった形です。
問題文も比較的長めで、正しく問題文を理解し、解答を導き出す必要があります。
2023 年秋季の応用情報技術者試験の結果
図2
引用:秋季試験合格者数
秋季の応募者、受験者、合格者が図2です。
合格率は応募者ではなく、受験者に対しての合格者の割合です。令和以降の応用情報技術者試験は21〜24%程度の合格率で推移しているようです。
学習方法
前述の通り、私はシステムアーキテクト試験に向けての学習をしていましたので、その知識を引き継ぎながら応用情報技術者試験勉強を行いました。
学習資料
2023-2024 システムアーキテクト 「専門知識+午後問題」の重点対策
高度の午前問題を学習していれば応用情報技術者試験も大丈夫だろう、と考えて選択しました。
学習方法
午前と午後で全く問題の性質が異なるので、別々の試験を受けるつもりで学習するのがよいと考えています。個人的には午前を重点的に学習しました。理由は以下です。
- 午前は知識を問う問題であり、午後試験のベースラインにできるため
- 経験から、午後試験は知識自体を求められるものもあるが、問題文をよく読めば解答を導き出せる問題が多数であると判断したため
- 午後は選択式であるため、不得手だったりわからないものは選択しないという手段が取れるため
午前は試験対策としてはとにかく数をこなしました。問題文や解答文の中で不明な単語が出てきた場合は、その単語についてしっかり調べました。
午後は数よりも問題文をしっかり読むということを意識しました。問題文の中に答えがあることがありますし、回答も問題文を踏まえて導き出す必要があるからです。
結果的にこの方法はよかったと考えています。試験で有効であっただけではなく、後々に知識として持っていけたと考えています。
また、目的の1つである業界標準的な知識をつけるということに貢献できたと考えています。午後試験の学習も、問題をよく読む=顧客の要求をよく理解する、という力に結びつくのではないかと感じています。
おわりに
当たり前ですが、受験をしてよかったと思っています。そして試験として有効なものであるとも考えています。午前問題で知識を問い、午後問題で長文からの要求を読み取り、それに対するソリューションを導き出す力を問う問題になっていると感じました。
GoogleやAWS、Azureなどベンダー資格は基本的に知識を問う問題になっていると考えています。それはそれでもちろん有意ですが、応用情報技術者試験は部分的ではありますがその知識を活用するということまで求められる試験であると感じています。
引用
参考
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