記事やコード等のインターネット上での著作権について

2021/08/16に公開されました。
2021/08/16に更新されました。

インターネット上の著作物利用について整理してみた


author: second10

記事やコード等のインターネット上での著作権について

目的

インターネット上での著作権についての記事は多くあるが、エンジニアが日常的に利用する場面での著作権について触れられているものはあまりないので整理してみました。

前提及び注意事項

  • 正確な理解よりも、大雑把な理解を目的としています。本記事に記載されている内容のみで著作権侵害を回避できるものではありません。
  • 投稿主は過去に法律の勉強をしていたことはありますが、専門家ではありません。また投稿内容について、弁護士等の専門家の確認は取っておりませんので、解釈が誤っている可能性があります。参考に見ていただくのは差し支えありませんが、有事の際は弁護士等の専門家にご相談ください。
  • 著作権法は比較的改正の多い法律になります。本投稿は2021年8月13日時点で作成されたものですが、以降の改正により本記載が適合しなくなる可能性があることはご留意ください。

1. 原則論

著作権法で保護する著作物とは、簡潔に言うと「思想又は感情を創作的に表現したもの」になります。 そして、この「思想又は感情を創作的に表現したもの」は割と広く解され、この拙い記事も含めたネット上の記事は基本著作物にあたりますし、コードも著作物になります。なので、インターネットに上がっているも記事・ブログ等は基本著作権の保護が及ぶもの(※1)と思っていた方が良いでしょう。 そのため、この利用にあたっては著作権者(※2)の許諾を得ることが原則となります。

(※1)著作物に当たらないものとしては単なる事実やデータ、アイデアや短い表現などがあります。 (※2)著作権は著作者に原則発生しますが、この権益は他人渡すことも可能なため、著作者と著作権者が一致しない場合もあります。

2. 法律で認められている利用可能ケース

エンジニアの方に限らず一般の人も大いに関係する話ですが、まずは法律で著作権者の承諾なしで著作物の利用を認めているケースについて話します。

個人利用の場合

著作権法は、個人的な利用については限定的に著作物を 複製(ココ大事) することを認めています。個人的な、と書かれていますが家庭や人的結びつきの強い小集団でも利用は可能です。

個人的に利用については、正当な利用の場合よりも、それを逸脱した利用ケースが話題になることも多いので、よくあるNGパターンを挙げておきます。誤認していると、著作権侵害になってしまうこともあるので、気を付けてください。

  • 個人ブログに転載する。 ⇒ インターネットを介した場合、不特定多数の者がアクセス可能な状態になるため複製権ではなく、 公衆送信権という別の著作権の侵害 になります。
  • 複製を他人に依頼する。 ⇒ 著作権法が認めているのは、「使用者が複製すること」ですので、使用者以外の複製は認められていません。
  • 非営利なら許される。 ⇒ 演奏や口述は例外的に非営利であれば承諾なしでの利用が可能なこともありますが(これは個人的な利用には限りません)、複製行為を含むその他の著作物の利用は認められていません。
  • コピーガードがなされている電子的著作物の複製 ⇒ コピーガードがされている場合のみ複製できない規定が設けられています。コピーガードがなされていなければ、本則通り個人的な利用のためのコピーが可能です。
  • 違法サイトからのダウンロード ⇒ もはや有名な話になりましたが、違法にアップロードされた著作物と知ってその著作物をダウンロードする行為は違法になります。

引用

引用とは、自分が作成する表現物の中で他人の著作物を補助的に使うことです。著作権法は引用は著作権者の承諾なしに行えるとしていますが、引用については下記のルールが決められています。(出典:文化庁ホームページ

  • 既に公表された著作物であること
  • 他人の著作物を引用する必然性があること。
  • かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
  • 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
  • 出所の明示がなされていること。

上記の ルールに従っていない場合は、本人が引用のつもりで記載しても法律的には引用とは認められない こともありますので、引用の際には注意が必要です。

情報解析のための利用

エンジニア特有の分野の話になります。機械学習の教師データとして著作物を利用することは著作権法で認められていますので、インターネット上にある画像などの著作物の利用が可能です。また、必要最低限の範囲での改変も認められています。 この規定にも例外規定はありますが限定的なもので、営利目的での利用も制限されておりません。但し、 情報解析のための利用という範囲から逸脱すれば違法 になりますので、その点には注意が必要です。

それ以外にも、エンジニアに関わる規定としては、ミラーリング、バックアップ、キャッシングでの最低限の複製は認められる条項もあります。あるんだよという話だけで、詳細は割愛させていただきます。

その他

上記に挙げた3つの場合以外にも、著作権法では公益にかなう場合として著作物の利用を認めていますが、ここでは割愛します。詳しく知りたいという方は、文化庁のホームページの他に法律事務所のサイトにまとめられておりますので、そちらをご参照ください。

著作権者が使用許諾を認めて公開しているケース

ようやく一番話をしたいと思っておりましたが、OSSやインターネット上に掲載される共有サイトやフリー素材についての話をしていきます。

OSS と著作権法

OSSは「利用者の目的を問わずソースコードを使用、調査、再利用、修正、拡張、再配布が可能なソフトウェアの総称」と定義づけられていますが、これは無条件に利用できることを意味するものではありません。

といっても単に使用するのは問題なく、OSSを利用したソフトウェアを利用した際にそのソースコードの開示を求められることがある、ということです。 ソースコードの開示のレベル(※3)はコピーレフトという表現で表されます。コピーレフトは主に下記の3つの型に分けられます。

  • 非コピーレフト型: ソフトウェア利用者(ライセンシー)の派生物にまで同じライセンスの適用を要求しない。
  • 準コピーレフト型: ライセンシーに対して利用者がソースコードを改変した際に、改変部分のソースの開示までを義務づける。
  • コピーレフト型: ライセンシーがソースコードを他のソフトウェアのソースコードと組み合わせた際に、他のソースコードの開示までを義務づける。

実際には、各ライセンスによって詳細が異なりますので、実際にOSSを利用する際には、そのOSS\のライセンスの内容の確認した上で、規約に沿って利用しましょう。 参考:OSS のライセンス一覧

インターネット上のフリー素材について

インターネット上の共有サイトやフリー素材についても、OSSと同様に無制限での利用は認められていません。フリー素材が掲示されている各ページには利用規約が定められており、その利用規約に反した場合は、著作権侵害となります。 実例として、有名どころのQiitaの規約を確認してみます。

Qiita の利用規約第7条・第 8 条の要約

著作権に関わるQiitaの利用規約は第7条と第8条にまとめられてます。全量は多いので、重要な部分を抽出・要約すると以下になります。(下記以外にも色々規定しています。)

  1. 投稿内容の利用については、Qiitaに投稿された記事は商用・私用を問わず、自由に利用されるし、利用することが可能。但し、Qiitaが認めるライセンス(※4)がある場合はそちらのルールが優先される。
  2. 投稿される内容は、他者の権利侵害をしないものであることを前提とするものであるが、Qiitaとしては投稿されている内容が権利侵害していないことを保証しないし、紛争が発生してもその責任は負わない。

基本的に1点目の内容の通り利用は自由にできるという理解で良いのですが、2点目の内容の注意が必要です。つまり、投稿された記事が既に著作権違反をしている場合があり得て、それを利用した場合、著作権侵害がになってしまうことがある、ということです。

著作権侵害は故意がなければ損害賠償請求はされませんが、利用の差止めはされます。そのため、商業用に利用する場合については、著作権侵害をしている可能性がある出所が明らかでないコード等は利用しないのが望ましいでしょう。

(※4)Qiitaが認めるライセンスとしては、OSSライセンスの一種である、GNU、GPL、BSDやCreative Commonsがあります。Creative Commonsのライセンスは下記の略称で表示されていることが多いです。Wikipedia等使われている場面も多いので、下記のような略字が表示されている場合、ライセンスが存在しているだ、ということを認識しましょう。

BY: 著作者や作品に関する情報を表記しなければならない。 NC: 非営利目的で利用をする。 ND: 作品自体を改変(加工・編集)せずに、作品の全部または一部をそのまま利用する。 SA: 作品の改変は可能ですが、もし作品を改変して新しい作品を作った場合には、その新しい作品にも元の作品と同じライセンスを付ける。

まとめ

ネット上の創作物には著作権があります。たとえ、無償で利用できるものと言われているものでルールが設けられていることが多いので、利用する際には利用規約やライセンス条項を確認しましょう。

余談

著作権の保護は文化の発展という公益を保護法益としています。 著作権法に則った利用は、文化の発展に寄与するものとされています。

※本記事は、ジーアイクラウド株式会社の見解を述べたものであり、必要な調査・検討は行っているものの必ずしもその正確性や真実性を保証するものではありません。

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