Google Cloud Next '26 Las Vegas Day2基調講演レポート ― ラスベガスを走る「自律型エージェント」の舞台裏
「エージェントの時代」を象徴するDay2デベロッパー基調講演。マラソンシミュレーションを題材に、構築・実行・観測・ガバナンスまで、エージェント運用の全容をレポートします。
Table of contents
author: kuribo-
はじめに
システム開発部のkuribo-です。 Day1に続き、Day2のデベロッパー基調講演 「Get real: Agents in the autonomous era」 の模様をレポートします!
初日のThomas Kurianの宣言を受け、2日目はより具体的に 「どうやってエージェントを本番環境で動かし、管理し、改善していくのか」 という実装と運用にフォーカスした内容でした。
今回、会場が最も盛り上がったのは、ラスベガスを舞台にした 「マラソン大会シミュレーション」 のデモです。
単なるルート案内ではありません。数万人のランナー、交通規制、資材配置、さらには「ラクダの通行規制」といったニッチなルールまで自律的に処理する、極めて高度なエージェント・オーケストレーションが披露されました。
エンジニア目線で最新機能の数々を解説していきます。
エージェント運用を支える「5つのコアコンポーネント」
デモの冒頭、Google Cloud VPのBrad Calderが、エージェントを本番環境で「自律的な働き手」として機能させるための、エージェント・プラットフォームの主要機能を提示しました。
- ADK (Agent Development Kit): エージェントに「指示・スキル・ツール」を装備させるための標準フレームワーク。
- Serverless Agent Runtime: エージェントを実行し、スケールさせ、セッションとメモリーを管理する実行基盤。
- Agent Identity & Gateway: エージェントに固有のIDを付与し、通信をポリシーで制御。
- Agent Registry & A2A: エージェント同士が互いを見つけ、協力し合うための基盤。
- Agent Observability: エージェントの推論プロセスを可視化し、管理・最適化するための観測基盤。
現場で即戦力になる「構築」:MCPとATUI
開発効率を劇的に変えると確信したのが以下の2つです。
1. Managed MCP (Model Context Protocol)
今まで外部ツールとの繋ぎ込みは複雑でしたが、Managed MCP を使えば、数行のPythonコードでセキュリティを担保したままGoogleマップなどの外部サービスへ接続できます。 デモでは、エージェントがベガスのランドマークを即座に把握し、給水所の配置を計算する様子が公開されました。
2. ATUI (Agents User Interface)
エージェントが「テキストの壁」を突き抜け、ユーザーに最適な UIコンポーネントをその場で自律生成 します。 Flutterをベースに、マップやチャートをGeminiが状況判断して配置します。
「実行」と「観測」:ステートフルな運用とデバッグ
Serverless Agent Runtime ― 「命」を吹き込む場所
構築したエージェントを動かすこの基盤には、エンジニアが苦労してきた「状態管理」が組み込まれています。
- オートスケーリング: リソース管理から開発者を解放。
- セッション & メモリー: 対話の文脈を維持し、過去の学習内容(例:渋滞の傾向)を次回の計画に活かします。
Agent Observability ― 「迷走」を止める眼
「エージェントがなぜその行動をとったのか」というブラックボックス問題を解決するのが Agent Observability です。 分散トレースにより、エージェントの推論フローを可視化。 デモでは、遅延の原因が「トークン制限」であることを Gemini Cloud Assist が数秒で特定し、その場でコード修正まで提案していました。
連携とガバナンス:自律型組織の守り方
A2Aプロトコルによる自律協力
Planner(計画)、Evaluator(評価)、Simulator(実行) の3エージェントが、A2A を介して互いの「エージェント・カード」を読み取り、自律的に役割分担をします。
マシンスピードのセキュリティ
Agent Gateway が「読み取り専用」などの権限ポリシーを強制。 Day1で発表された Wiz との統合により、脆弱性の発見(Red Agent)から修正案の提示(Green Agent)までをエージェントが自律的に行うデモは圧巻でした。
まとめ
Day2のレポートをまとめると、以下の「統合スタック」が見えてきます。
| カテゴリ | 注目機能 | エンジニアの役割 |
|---|---|---|
| 構築 | ADK / MCP | 指示・スキル・ツールの定義 |
| 実行 | Serverless Agent Runtime | セッションとメモリーの戦略設計 |
| 観測 | Agent Observability | 推論プロセスの監視と最適化 |
| 管理 | Identity / Gateway | セキュリティポリシーのガバナンス |
| 連携 | Registry / A2A | エージェント間のオーケストレーション |
クロージングでEmmaが語ったこの言葉が、今回のNextの本質を突いていました。
「エージェントもソフトウェアに過ぎません。安全に運用するには、透明性の高いメトリクス、適切なデバッグツール、そしてスケールへの注意が必要です」
「作る(Build)」から「デザインし、指揮する(Orchestrate)」へ。 構築、実行、そして一番の難所だった『観測』まで。エージェントを本番で動かすためのツールが揃ったように感じます。
インフラからセキュリティまで、これだけの「自律型スタック」が揃ったので、今後エージェント開発が捗りそうですね。
参考リンク
※本記事は、ジーアイクラウド株式会社の見解を述べたものであり、必要な調査・検討は行っているものの必ずしもその正確性や真実性を保証するものではありません。
※リンクを利用する際には、必ず出典がGIC dryaki-blogであることを明記してください。
リンクの利用によりトラブルが発生した場合、リンクを設置した方ご自身の責任で対応してください。
ジーアイクラウド株式会社はユーザーによるリンクの利用につき、如何なる責任を負うものではありません。