Google Cloud Next '26 Las Vegas Day2基調講演レポート ― ラスベガスを走る「自律型エージェント」の舞台裏

2026/04/24に公開されました。
2026/04/24に更新されました。

「エージェントの時代」を象徴するDay2デベロッパー基調講演。マラソンシミュレーションを題材に、構築・実行・観測・ガバナンスまで、エージェント運用の全容をレポートします。


author: kuribo-

はじめに

システム開発部のkuribo-です。 Day1に続き、Day2のデベロッパー基調講演 「Get real: Agents in the autonomous era」 の模様をレポートします!

初日のThomas Kurianの宣言を受け、2日目はより具体的に 「どうやってエージェントを本番環境で動かし、管理し、改善していくのか」 という実装と運用にフォーカスした内容でした。

今回、会場が最も盛り上がったのは、ラスベガスを舞台にした 「マラソン大会シミュレーション」 のデモです。

marathon

単なるルート案内ではありません。数万人のランナー、交通規制、資材配置、さらには「ラクダの通行規制」といったニッチなルールまで自律的に処理する、極めて高度なエージェント・オーケストレーションが披露されました。

エンジニア目線で最新機能の数々を解説していきます。

エージェント運用を支える「5つのコアコンポーネント」

デモの冒頭、Google Cloud VPのBrad Calderが、エージェントを本番環境で「自律的な働き手」として機能させるための、エージェント・プラットフォームの主要機能を提示しました。

  1. ADK (Agent Development Kit): エージェントに「指示・スキル・ツール」を装備させるための標準フレームワーク。
  2. Serverless Agent Runtime: エージェントを実行し、スケールさせ、セッションとメモリーを管理する実行基盤。
  3. Agent Identity & Gateway: エージェントに固有のIDを付与し、通信をポリシーで制御。
  4. Agent Registry & A2A: エージェント同士が互いを見つけ、協力し合うための基盤。
  5. Agent Observability: エージェントの推論プロセスを可視化し、管理・最適化するための観測基盤。

現場で即戦力になる「構築」:MCPとATUI

開発効率を劇的に変えると確信したのが以下の2つです。

1. Managed MCP (Model Context Protocol)

今まで外部ツールとの繋ぎ込みは複雑でしたが、Managed MCP を使えば、数行のPythonコードでセキュリティを担保したままGoogleマップなどの外部サービスへ接続できます。 デモでは、エージェントがベガスのランドマークを即座に把握し、給水所の配置を計算する様子が公開されました。

2. ATUI (Agents User Interface)

atui

エージェントが「テキストの壁」を突き抜け、ユーザーに最適な UIコンポーネントをその場で自律生成 します。 Flutterをベースに、マップやチャートをGeminiが状況判断して配置します。

「実行」と「観測」:ステートフルな運用とデバッグ

Serverless Agent Runtime ― 「命」を吹き込む場所

構築したエージェントを動かすこの基盤には、エンジニアが苦労してきた「状態管理」が組み込まれています。

  • オートスケーリング: リソース管理から開発者を解放。
  • セッション & メモリー: 対話の文脈を維持し、過去の学習内容(例:渋滞の傾向)を次回の計画に活かします。

Agent Observability ― 「迷走」を止める眼

agent-observability

「エージェントがなぜその行動をとったのか」というブラックボックス問題を解決するのが Agent Observability です。 分散トレースにより、エージェントの推論フローを可視化。 デモでは、遅延の原因が「トークン制限」であることを Gemini Cloud Assist が数秒で特定し、その場でコード修正まで提案していました。

連携とガバナンス:自律型組織の守り方

A2Aプロトコルによる自律協力

Planner(計画)Evaluator(評価)Simulator(実行) の3エージェントが、A2A を介して互いの「エージェント・カード」を読み取り、自律的に役割分担をします。

マシンスピードのセキュリティ

Agent Gateway が「読み取り専用」などの権限ポリシーを強制。 Day1で発表された Wiz との統合により、脆弱性の発見(Red Agent)から修正案の提示(Green Agent)までをエージェントが自律的に行うデモは圧巻でした。

まとめ

Day2のレポートをまとめると、以下の「統合スタック」が見えてきます。

カテゴリ注目機能エンジニアの役割
構築ADK / MCP指示・スキル・ツールの定義
実行Serverless Agent Runtimeセッションとメモリーの戦略設計
観測Agent Observability推論プロセスの監視と最適化
管理Identity / Gatewayセキュリティポリシーのガバナンス
連携Registry / A2Aエージェント間のオーケストレーション

クロージングでEmmaが語ったこの言葉が、今回のNextの本質を突いていました。

「エージェントもソフトウェアに過ぎません。安全に運用するには、透明性の高いメトリクス、適切なデバッグツール、そしてスケールへの注意が必要です」

「作る(Build)」から「デザインし、指揮する(Orchestrate)」へ。 構築、実行、そして一番の難所だった『観測』まで。エージェントを本番で動かすためのツールが揃ったように感じます。

インフラからセキュリティまで、これだけの「自律型スタック」が揃ったので、今後エージェント開発が捗りそうですね。

参考リンク

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